弁護士 大野 薫のコラム

2017.04.26更新

当職は,平成29年4月26日に弁護士法人サラブレッド法律事務所を円満に退職し,下記にて大野薫法律事務所を開設いたしました。これもひとえに皆様方のご厚情とご支援のおかげでございます。心より感謝申し上げます。

           記
〒102-0072
東京都千代田区飯田橋3-4-4 第5田中ビル3階
大野薫法律事務所
TEL 03-6380-9464
                     以上

引き続き,皆様がお困りの際にお力添え出来るよう尽力して参りますので,今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

執務室

上記が執務室の様子です。

投稿者: 弁護士大野薫

2017.04.13更新

無添くら寿司の裁判が話題になっているので,少し説明します。

 

くら寿司が相手に何を求めていたのかというと,詳細はわかりませんが,「くら寿司についてインターネットでコメントした人の情報を開示してほしい」ということです。

なぜ,このようなことを求めるのかは断定できませんが,推測するに,くら寿司は,コメントをした人の情報開示を受けた上で,今後そのようなコメントをされないように,コメントをした人に対して,見せしめ的に名誉毀損として訴えるつもりだったのかもしれません。

 

さて,このような開示を求めるための要件は,要するに,そのコメントの「① 権利侵害が明白」で,かつ,「② 開示を受ける正当な理由がある」ことが必要です(プロバイダ責任制限法4条1項)。

このうち,①権利侵害があるよ,というためには,書き込みが権利を侵害していることを主張しなければなりません。具体的には,くら寿司の社会的な評価を下げる行為として違法なんだと言う必要があります。

そして,問題となった書き込みは,「ここは無添くらなどと標榜(ひょうぼう)するが、何が無添なのか書かれていない。揚げ油は何なのか、シリコーンは入っているのか。果糖ブドウ糖は入っているのか。化学調味料なしと言っているだけ。イカサマくさい。本当のところを書けよ。市販の中国産ウナギのタレは必ず果糖ブドウ糖が入っている。自分に都合のよいことしか書かれていない」というものです(産経新聞の記事(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170412-00000553-san-soci)から引用)。

これに対して,裁判所は,これは社会的な評価を下げるものではないよ,だから違法じゃないよ,と言ったということです。

つまり,違法じゃないということは,「① 権利侵害が明白」ではないということです。そのために,裁判所は,くら寿司の負け,と判断したわけです。

 

なお,裁判所は,補足的に,社会的な評価を下げているとしても,違法じゃない例外的な場合に当たることまで教えてくれています。

この人の書き込みは,事実に対する評価であり,意見です。そして,このような意見については,「(1)公益目的のあるもの」で,「(2)公共の利害に関係するもの」で,「(3)意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実」で,かつ,「(4)意見ないし論評としての域を逸脱したものでない」ならば,違法ではないとされています。いわゆる「公正な論評の法理」(最判平成9年9月9日)というものです。

前記産経新聞の記事では,⑴と⑶にしか触れていませんが,違法でないとしている以上,上記例外的な場合の要件を満たしていると言っているということでしょう。

投稿者: 弁護士大野薫

2017.04.06更新

弁護士に依頼してお金を回収したいとき,どのような手続があって,どのような費用がかかるのか,簡単に説明します。

1 手続に関する簡単な説明
お金を回収する手続においては,「仮差押え→訴訟(裁判)→強制執行」という流れがあります。

①仮差押えについて
仮差押えとは,裁判を起こしているうちに,お金を隠されないように,仮に押さえることができるというだけです。
つまり,仮差押えをしたとしても,そのお金はもらえるわけではありません。
また,具体的にどこに財産があるかわからないと,仮差押えをすることはできません。

②訴訟について
次に,訴訟とは,権利を確定させるものです。相手から1000万円もらう権利があると裁判所が公的に認めてくれるということです。
つまり,裁判所は認めてくれるだけで,お金を取ってきてくれるわけではありません。

③強制執行について
最後に,強制執行とは,銀行や土地等を現金に換えて,公的に認めてもらった分だけ受け取るという手続です。
つまり,強制執行するためには,(例外はありますが)訴訟をしないといけません。
また,具体的にどこに財産があるかわからないと,強制執行をすることはできません。

2 費用についての説明
仮差押えと,訴訟と,強制執行は,別の手続ですから,別々に費用がかかります。
また,業務をするに際しての着手金と,成果を得た後の報酬金の2種類があります。
そして,弁護士の報酬は,経済的利益(請求額,獲得額等)で決まります。
具体的には,次のような金額になります。以下では簡単に説明するために,経済的利益が1000万円の場合を例として説明します。

①仮差押えについて
着手金が請求額の2.5%+4万5000円,報酬金は基本的に0円です。
具体的には,1000万円請求して1000万円認められたら,着手金のみ,29万5000円です。

②裁判について
着手金が請求額の5%+9万円,報酬金が認容額の10%+18万円です。
具体的には,1000万円請求して1000万円認められたら,着手金が59万円,報酬金が118万円です。

③強制執行について
着手金が請求額の1.67%+3万円,報酬金が回収金額の2.5%+4万5000円です。
具体的には,1000万円請求して1000万円回収できたら,着手金が19万6667円,報酬金が29万5000円です。

投稿者: 弁護士大野薫